グラバー邸
グラバー邸
完成:1863年
場所:長崎県長崎市
長崎市内の観光地として言わずと知れたグラバー邸。「レトロでおしゃれな洋館」として通り過ぎてしまえばそれまでですが、実のところ西洋建築が流入する前の幕末に在来の棟梁・大工の手によって建てられた、広義の擬洋風建築と言えます。
八角形の間取りや控えめな造りは瀟洒な洋館を演出していますが、屋根はやっぱり瓦葺き。梁を渡しているのも日本建築の伝来らしく、特に厨房は「土間」の雰囲気が色濃くあります。
一方で、西洋人が監修しているだけあって単なる擬洋風に留まらない点が特徴です。アーチを描く木組みの意匠や天窓、温室などは、日本建築からは出てこないであろう西洋のエッセンスを感じます。
なお、グラバー邸のあるグラバー園の中には他にも同時期の建築が保存されています。いずれも木造洋風に瓦屋根という擬洋風建築の形態で、明治の長崎の街並みを思い浮かべることができます。