キャナルシティ
博多
博多
完成:1996年
設計:ジョン・ジャーディ
場所:福岡県福岡市
様式建築の装飾主義に商業性を見出した例として三越本店をはじめとする戦前の百貨店建築がありましたが、装飾主義を復興したポストモダン建築もまた商業施設に取り入れられました。洋風な見た目のアウトレットモールなどもその思想と言えますが、ここでは特に完成度の高い一例として、商業施設建築の天才ジョン・ジャーディの国内代表作、キャナルシティ博多を紹介します。
ジョン・ジャーディの他の作品と同様、ショッピングモールながら屋外を基本とした多層構造で、曲がりくねった谷筋のような構成です。カラフルで楽しい意匠空間が広がっており、中央にはリンゴのような球形の窪みがシンボリックに座しています。
「キャナル」(運河)というテーマに沿って、溝の谷底には水路が通されており、球形窪みの正面では噴水ショーが定期的に行われています。循環設備など様々なメンテナンスを要する水モノは維持が大変なので、それがあるというだけでその施設の格の高さが伺えます。また、植栽の緑も豊かに配置されており、目を楽しませてくれます。
屋内の売り場部分は基本的には機能的にまとめられていますが、一部には吹き抜けで開放感を演出している箇所もあります。ジョン・ジャーディの作品で屋内に作家性が表れているのは珍しい気がします。
全体を通じて、都市におけるゆとりや楽しさを体現した、単なる商業施設に留まらない街のランドマークとしても相応しい建築と言えます。
ジョン・ジャーディの国内作品はこの他、なんばパークス、ラ・チッタデッラ、六本木ヒルズの低層商業エリアなどがあります。例えばラ・チッタデッラではイタリアの丘陵都市をモチーフに主動線を螺旋構造にして敢えて「迷う」造りにするなど、いずれもゆとりや周遊性のある設計が優れた面白い商業建築を実現しています。